小さなピマーイ

     朝5時過ぎに起きた俺は、6時にはウボンのホテルをチェック・アウトして、バスターミナルへ。
    今日はウボンからコラート(ナコーン・ラチャシーマー)へ行き、コラートからピマーイへ行く予定だ。

     昨日に買っておいたバスのキップを係員に見せ、乗り場を教えてもらい、バスに乗り込んだ。

    俺は今日の移動を楽しみにしていた。なぜならば初めてエアコンバスに乗るからだ。
    東南アジアは、もう4ヶ国目ですが、タイのバスが一番、まともです。
    そのうえ、エアコンが付いているなんて!って、考えると嬉しくなってくる。
    当然、座り心地は最高!そしてなんとジュース&お菓子まで付いています。
    それと、ペットボトルの水もくれた。乗る前に買わなくて良かった。
    停車するところも主要なバスターミナルだけなので、早く着きます。でもクーラー効きすぎで寒い。
    エアコンバスは、乗り心地は良かったけど、冷房が効きすぎて、寒くて、寒くて。
    コラートまでは5時間半で行くことが出来ました。

     バスから降りる時に、豆乳とおしぼりをもらったので、昼飯はそれらを有効に活用するべく、バスターミナルで、カオニア(餅米)と鳥モモを買って、それを手づかみで食って、汚れた手をおしぼりできれいに拭いて、豆乳をズズッと飲みました。
    オッシャー!このまま一気にピマーイに行くぜ!

    ピマーイ行きのバスはどれ?と数人のタイ人に聞き、
    エアコンバスとは天と地ほどの差があるオンボロバスに乗り、出発。
    でも俺は、きれいなバスよりも、ボロイ、ローカルバスの方が乗っていて楽しい。
    こういうバスの方が旅情緒あふれています。
    しかし一見、遅そうに見えるオンボロバスは、キーを入れエンジン音が鳴り響くと、とてつもないスピードで、走り出した。

    ピマーイのナイトバザールにて
    帰宅中?の少年達(ピマーイにて)

     このボロバスの運転手は頑固そうなおやっさん。
    このクールなおやっさんの運転はメチャクチャにホットだ。
    クラクションをぶっ放しながら、他の車を蹴散らすかのように、ぶっ飛ばしております。
    もちろんローカルバスだから、途中にバス停がありますが、そんなもん、このおやっさんの眼中には、入っていない。
    そして、VIPバスもあっさり抜き去った。
    「おやっさん。ほれぼれするぜ!この走りっぷり。」と俺は、この刺激的な走りに感激!
    途中、不明な停車もあったが、このバスはガイドブックに載っていた所要時間を大きく更新した。
    まさに他の追随を許さない走りっぷりでした。
    こんなバスに乗って、俺はピマーイに到着した。

     さぁて、お次は最近恒例になったゲストハウス探しです。
    俺は徒歩で2軒のゲストハウスに行ったが、なんか、パッとしません。
    値段は手頃やったけれども(1泊=120B)
    ホテルでも見てみようかなと、小さなピマーイの『PHIMAI HOTEL』に行ってみたが、なんと値段が220Bだったので、ここに泊まることにした。US5$です。いいじゃございませんか。

    俺は荷物を部屋に置き、さっそくピマーイのメイン、ピマーイ遺跡へ。
    ピマーイ遺跡と言っても、この小さな街全体が遺跡に囲まれているので、この街に入った時点で、ピマーイ遺跡に踏み入れているわけである。

    ピマーイ遺跡

     この小さなピマーイがタイ最大のクメール遺跡である。
    もし俺がアンコール・ワットを見る前にここを見ていたら、ものすごく感動していただろう。
    遺跡は修復されていて、石が積み直されていたが、ここでもあの優雅で繊細な彫刻達は省略されていた。
    翌日、ミュージアムに行ったが、ここにはあの優雅で繊細な彫刻達やレリーフ達が集結してました。

     しかしこの形はアンコール・ワットを彷彿させるのには十分だった。
    1ヶ月前にはカンボジアのアンコール・ワットに居たんだ。懐かしいなぁ。でもまだ鮮明に思い出せる。
    俺にとっては、まだすごく身近な日々だ。それくらい鮮明だ。
    あれからまだ1ヶ月しか経ってないのか?それとももう1ヶ月経ったのか?
    俺は遺跡を眺めながら、今回の旅の長さを実感した。




    コラートのナイト・バザール

     ピマーイに2泊した僕は、翌日の午前9時のバスに乗り、タイ東北部、最大の街コラート(ナコーン・ラチャシーマー)へ向かった。
    通勤時間と重なったため、車内はとても混雑していた。タイの通勤も大変ですね。
    バスは約1時間半でコラートのバスターミナルに到着した。

    こ こから街中までは近いので、歩いて行くことにした。トゥク・トゥクなんかに乗るものか!
    さっぁ!あともう少しで旧市街だ!ってとこで、1軒のホテルを発見。
    でっかいので高いかな?でもテレビは絶対にあるなと思い中に入りました。

     何故TVにこだわるかと言うと。
    実はムクダハン、ウボンとテレビが付いている部屋に泊まってしまった俺は、すっかりタイの昼間の連ドラにハマッテしまいました。
    ストーリーは単純です。時は第二次世界大戦中の日本軍とタイのある村の物語。
    これがアジアの常識なのか?日本軍が悪です。

    善悪がはっきりしているこのドラマは言葉がわからなくても、状況でストーリーを把握することができます。(日本軍のかけ声だけは日本語)
    主人公は吉田栄作似の青年。ヒロインはメッチャかわいい人です。
    毎日、このドラマを見ていた俺は、どうしてもテレビ付きの部屋に泊まりたかった。
    早く宿を決めなければ、ドラマが始まってしまいます。

    ナコーン・ラチャシーマーにて

     やはりホテルはゲストハウスよりも値段が高かったが(1泊=350B)
    別にゲストハウスに泊まらなければならないと言う、ルールもない。ウボンもホテルやったけど。
    旅も、もう終盤なので、ちょっと贅沢もしたくなってきていた。
    そしてやっぱり、TVが見たかった。
    『タイ・ホテル』にチェックインした僕は、さっそくテレビのスイッチを入れて、ドラマを見入った。

    今日は仲間が一人増えて、5人になっていた。

     ドラマが終わり、俺はカメラも持たずに、おでかけ。
    コラート(ナコーン・ラチャシーマー)はチェン・マイより都会だ。
    さすがイーサン(タイ東北部)最大の街だ。
    人々の顔もチェン・マイと比べるとずいぶん違います。
    夕方になり、ここでもやっておりました!ナイト・バザールです。
    タイはどんな街でも夕方になると屋台や露店が集まって、ナイト・バザールがあるので楽しい。
    しかし、ここのナイト・バザールは街の規模とは対照的にこぢんまりしていた。

     みなさん、まだ準備中でございますが、俺はおかまいなくブラブラと。
    衣料品や食べ物屋台など、どこの街もあまり変わり映えはしませんが、この活気が好きです。
    屋台で串揚げを買い、食べながら、商品を見たりとブラブラしていると、
    あれっ!あなたは?どっかで見ましたよネ?ホテルの受付のねーちゃんじゃございませんか?
    「こんな所で何してるの?」と聞くと、「ここは私の店なの。昼間はホテルでパートしてるけど。」
    働き者だねぇー。俺も帰国したら見習おうっと。
    この店でなんか買おうかと思ったが、何も欲しい物がなかった。


     またブラブラと歩いていると、なんか遠くの方から、変な音がしてきて、それがドンドン近づいてきます。
    何やろう?と思い、音のする方向へ行ってみると、なんで!こんな所に!こんなんが!
    メッチャビックリしました。ゾウさんです。「パオーン!」あなたはどこから来たの?
    ナイト・バザールにゾウさん。とても不思議な光景だが、なんかとてもタイらしい。
    なんでカメラを置いてきてしまったんだろう?

     ゾウさんは車をよけながら、ズシズシと歩き、立ち止まってはエサのバナナをもらっている。
    って言うか、ゾウさんにエサのバナナをあげませんか?という、商売らしい。
    客はゾウ使いから、バナナを1房買って、それをゾウさんにあげるというシステムだ。
    さっすがタイだぜ!ビックリした。もしこんなこと日本でやったらどうなるのでしょうか?

     日はすっかり沈み、夜になっていた。
    俺もそろそろ帰ろうと思い、歩いていると道に迷った。ここは何処?
    人に聞いて、逆方向に歩いていることが判明。なんか一気に疲れた。

     宿へ帰り、テレビをつけると、日本のドラマ「ロング・バケーション」がやっていたので、また見てしまった。
    明日は何をしよう?旅も終わりに近づいて来た。