元日のボダナート
2012年1月1日
年が明けた。2012年の始まりの日である。
特に何も変わらず、昨日が、今日になっただけの年明け。
俺のネパール滞在は、あと2日間なので、思いっきり楽しもうと思っている。
今日の行き先は、ボダナート。
チベット仏教の聖地でもあります。
7年前、3日間、滞在して絵を描いていた思い出深い場所。
タメルの南側の路地裏を写真を撮りながら歩き、ボダナート行きのマイクロバス乗り場へ向かう。
この通りは、好きです。
昨日も通った、アサン・チョーク周辺の路地には、野菜の市が、所狭しと道ばたに並んでいる。
そこをクラクションを鳴らしながら、バイクやリキシャーが通る。
もうゴチャゴチャ。
アサン・チョークは、数本の通りが交わる場所で、ここには、香辛料や金物などの店が軒を連ねている。
車のエンジン音、クラクション、人々の生活の音が、うるさいほどエネルギッシュに、けたたましく鳴り響く。
生活雑貨や服屋などが並ぶ、大きな通りを抜けて、歩道橋を渡ると、ボダナート行きのマイクロバス乗り場は、すぐそこだ。
青い軽自動車が、誘導係のオッサンによって、整然と列をなしている。
俺は、オッサンに「ボウダ?」と聞くと、オッサンは、首を斜めに傾け、「これだ!」と頷く。
ボウダとは、ボダナートのことで、地元では、この名前が一般的なようだとガイドブックに書いていた。
所々シートが破れた席に腰を下ろし、数名の乗客を乗せ、出発。
運賃係の兄ちゃんが窓から顔を出し「ボウダ!ボウダ!」と叫ぶ。
どこをどう走っているか、全く分かりませんが、途中に小さなボダナート風のチョルテン(仏塔)も見えたので、そろそろ到着なのか?
青くてボロい小さな軽自動車は、バスターミナルを出て、30分後にボダナート前に到着。
俺は、20Rs払い、バスを降りた。
バスを降りると、目の前には、ボダナートへの入口の門があり、そこを潜ると、チケット売り場があります。
脇道から、勝手に入ることも出来ると思うのですが、そんなセコいこ真似はせずに、200Rs払い、チケットを買う。
目の前には、目玉が描かれた巨大な仏塔が見えた。
あれが、ボダナートだ。
「あっー!懐かしい。また会えて、嬉しい!」
一歩一歩、歩みを進める。
今日は、元旦なのだからでしょうか?
チョルテンの一層目には、大勢の僧侶が座って、読経している最中だ。
今は、そっちへ行かない方が、いいのかと思い、チベタンと同じように、時計回りに、仏塔の周りをコルラする。
白い壁沿いを歩き、たまにマニ車を回しながら、歩いてゆく。
7年前と比べると、インド人観光客が、ものすごく多い。
この光景を上から見てみたいと思い、コルラをやめて、ボダナートの周囲を取り囲むように建ち並んでいる建物の中から、
一軒のカフェを探して、建物の屋上へ。
Cafe Du Templeと言う名のカフェの屋上へ行き、席へ着き、ミルクティー(35Rs)を頼む。
建物の屋上から見えるボダナート。
空には、鳩が群れをなして飛び交い、僧侶の読経が、スピーカーから鳴り響く。
この円形の空間だけを包み込むように。
写真を撮ったりしながら、しばらく屋上からのボダナートの風景を楽しむ。
今日の天気は、あいにくの曇り空。
俺が、ネパールに来てから、初めての曇り空だ。
青い空に、白いチョルテンをイメージしていただけに、ちょっと残念だ。
ミルクティーを飲み終えた俺は、下に降りた。
カフェを出た俺は、白い仏塔へ向かった。
何層にも積み重ねられたボダナートの台座だが、1層目には行けるが、どうやら2層目には、入れないようだ。
「まあ、しゃーない。」
2012年の最初の日という、特別な日に来たのだから。
読経が終わったらしく、大勢いた僧侶達は、ゾロゾロとどこかへ行く。
さっきまで僧侶がいた場所には、ツァンパとバターで作られたトルマが置かれているが、
こんなキレイなトルマは、今まで見たことが無い。
トルマとは、お供え物で、仏塔をかたどったものが多い。
それに無数の5色のタルチョが、金色の仏塔の先から、白い壁まで、架けられて、風になびいている。
タルチョとは、5色の旗で、「地水火風空」を表している。
2周ほど回って、外へ出る。
今度は、たまにマニ車を回しながら、ブラブラ。
ここ、ボダナートへは、7年前に何度も来ていた場所なので、予想以上に感動が薄い。
でも、もう一度、ここへは、来ておきたかった場所だ。
しっかし、鳩が多いな。
鳩のえさ売りもいて、先ほど土産屋で見かけた、韓国人女性の旅行者が、
ボウルに溢れんばかりの鳩のえさを手に取って、鳩に投げつけている。
楽しそうですね。
あまりにも自由で、楽しそうなので、ちょっと、見とれてしまいました。
俺に語学力があればと、悔やまれた瞬間だった。
遅めの朝ご飯を食べようと、ローカル食堂が並ぶ、場所へと行くが、時刻はもう11時。
朝ご飯と言うよりは、昼食だ。
ネパールのローカルさとは違い、ラサのローカルさに近い店内で、トゥクパ(50Rs)を食べた。
んーん。味もラサに近い。
寒かったので、スープも飲み干した。
その後、以前に泊まっていたゲストハウスへ行ったり、その近くのゴンパ(寺院)にも行ったが、
やはり感動が薄いと言うか、ここは、7年前の印象が強すぎた場所だ。
ただ、7年前を振り返っただけのボダナート。
やっぱり、7年前には、かなわない。
もう行こう。
帰りは、市バスに乗って帰ったが、なかなかバスに乗れずに苦労しました。
ボダナート前の通りで、ずっとバスを待っていたが、来るバスは、ことごとく満員バスで、
隙間があろうものなら乗客は、飛び乗るように乗っていたりもしますが、危なそうで、俺には、そこまでは出来ない。
数台のバスを乗り過ごし、やっと乗れたバスだったが、これも満員で、もうギュウギュウ詰め。
車内には、ネパールかインドかのポップスが流れていて、圧迫感が漂う車内だったが、すこしは和らいだ。
近くにいた、ネパール人の兄ちゃんが、これがカトマンドゥのバスだぜ!って感じで、ニヤッと微笑む。
30分ほどで、シティバスパークに到着した。
途中から、座れたが、こういうバスに乗るのは、実は好きです。
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