小さな街、キルティプルで

    宿の向かいにあるカフェで、トーストとチーズ&トマトオムレツの朝食を食べた後、シティ・バスパークへと向かった。
    シティ・バスパークは、カトマンドゥ近郊のバスが発着しているバスターミナルで、

    これから向かう、キルティプルへのバスもここから出ている。

    タメルの南側の煉瓦が敷き詰められた、路地のような狭い道を歩く。
    商店のシャッターは、まだ降りたままで、人通りも少ない。
    しかし、アサン・チョークに近づくに連れて、人通りは、多くなり、車も通る、カンティ・パド通りに出ると、

    人間がうごめいているように見えるほどの、人の多さだ。

    そんな人々を眺めながら、歩道橋を渡り、シティ・バスパークへ到着。

    キルティプル行きのバスは、どれだ?
    俺は、ネパールの文字が読めないので、人に聞きまくる。
    唯一読める文字は、食べ物のモモという文字だけです。

    ようやく、キルティプル行きのバスというか、ワゴン車のような、ミニバスに乗り込んだ。

    「キルティプル!キルティプル!」と大きな声をあげているのは、まだ大人になりきれていない少年。
    少年は、いつから、この仕事を始めたのだろう?

    少年の叫び声とともに、バスは出発。
    バスは、走ること30分ほどで、キルティプルの街の麓にある、ナヤ・バザールに到着した。


    バスを降りて、周りの景色を見てみると、かすかにヒマラヤが見える。
    ナヤ・バザールから見る、キルティプルの街は、まるでシッキムのガントクように、斜面に建物が建ち並んでいる。
    今日は、大晦日だから、なにかあるのだろうか?
    ナヤ・バザールの広場には、ステージが作られていた。

    斜面に建ち並ぶ建物の中に、はて?どこかで見たような?と思わせる、金色の仏塔が、見えます。
    ガイドブックには、タイ寺院と書いてある。
    何で、キルティプルにタイ寺院があるのか知りませんが、行ってみましょうか。

    タイ寺院へ着くと、多くの人が境内に集まっています。
    何をやっているのだろうか?と階段を下りて、境内へ向かった。

    境内の後方には、僧侶の銅像が乗っている石碑のようなもの。
    そこには、ヒンディー語、英語、中国語、日本語、チベット語、タイ語、ビルマ語など仏教国の文字が刻まれている。
    日本語では、「ネパール仏教僧団長老ブロギヤナンダ師」と書かれています。
    他の国の文字でも、そう書いているのだろう。

    結局、何をやっているのかは、ハッキリと分かりませんでしたが、今年、一年の最後の日なので、みんな集まっているのでしょう。
    あまり長居することもなく、町散策へ。

    キルティプルの街は、12世紀にパタンの衛星都市として建設されたらしい。
    古い街並みが残っている丘の上には、車両の乗り入れが禁止されている。
    そのため、街が賑わっているのは、街をぐるりと囲むリングロード沿いの通りが、人や車が行き交い賑わっていた。

    まだレンガ造りの建物が未完成なパン屋さんや、キリッとしたマネキンには、派手な装飾がしてある、

    サリーを着せてディスプレイしている服屋、路上の道端で、鶏肉を解体している肉屋の側には、
    野良犬が、おこぼれを貰おうと人の輪に混ざっている。
    通りの端のコンクリートの電柱には、危なっかしそうに、電線が何十にも絡まっている。


    リングロード沿いを歩いていると、上へ行けそうな道があったので、行ってみる。
    門が見える。
    レンガ造りで、屋根の軒先には、赤い布の装飾がしてある。
    道路も門から先は、石畳の道になっている。
    きっと、これが、古都キルティプルへの入り口だろう。

    門をくぐって、石畳の道に足を踏み入れる。
    通りは、すでに坂になっていて、上へ上へと歩みを進める。
    石段の階段を通り、すっかり路地のようになった石畳の道を抜けると、
    そこには、レンガが敷き詰められた平らな道へと出た。

    車が1台通れそうな狭い道の両側には、レンガ造りの家屋が建ち並んでいる。
    壁を鮮やかな色で塗っている家もあるが、塗ってあるのは正面だけで、両側は、レンガが剥き出しである。

    車両の乗り入れが、禁止されているこの通では、住人達が、道にたくさんの洗面器を広げるように置き、
    洗濯をしている。
    洗濯をしている数人の女性の側では、子供達が集まり、遊んでいます。

    静かで、ほのぼのとした光景を見て、何かいい予感がしてきました。

    キルティプル散策を開始して、数十分。
    目指すは、北西側の丘に建つ、バグ・バイラヴ寺院。

    ガイドブックの地図には、この寺院の側に、旧王宮跡の文字が書かれているので、気になった。

    バグ・バイラヴ寺院の入り口となる建物の前には、白い建物がある。
    何かを奉っているのか?ドーム型の天井の頂部は、金色の装飾が施されている。
    また、白い建物へと続く、短い階段の両側には、ライオン像が鎮座している。

    そして、白い建物の先には、長方形の池があります。
    池には、水は少なくて、藻なのだろうか?緑色の物体が、浮いている。
    そして、所々に不燃物ゴミが浮いている状態で、ここでも地元民の景観に対してのモラルの低さが、見られた。


    池の側には、3階建ての建物があり、なかなか古そうな感じがします。
    窓枠の木彫りの装飾も立派やし、これが王宮の跡なのでしょうか?
    中に入ってみたいが、アパートになっているようで、住人もいるので、やめておいた。
    それらしき建物は、これ以外には無いのですが、良く分かりませんでした。

    バグ・バイラヴ寺院の入り口には、2階建てに見える、1階部分が縁側のようになっているレンガと木で出来た建物。
    左右には、腰の高さくらいまでの壁があるが、前方は、壁がなく、柱だけである。
    柱には、細かい装飾が施されていて、時間の経過で角が丸くなっていたりもするが、出来た当初は、さぞ美しかったのであろう。

    ここには、そういう建物が多い。

    狭い門をくぐり、バグ・バイラヴ寺院へ。
    境内に入ると、不燃物を燃やした、嫌な匂いが、鼻につく。
    石が敷かれた参道の先には、3層の大きな建物。

    最上部の屋根からは、何枚もつなげられた金色の板が、1層目の屋根の下まで垂れ下がっている。
    建物の周りを取り囲むように、蝋燭台が設けられているが、どれもが蝋でギトギトしている。

    建物の裏手に回ると、そこからの景色はとてもよかった。
    もっと空気が澄んでいればと、もっとキレイなんでしょうね。
    カトマンドゥの周りだけが、灰色の空気に包まれているように見えたのが印象的だった。