ドゥリケルの街角で

    カーリー寺院からの帰り道、そろそろお昼ご飯にしたいと思う。
    レンガ作りの門の先には、学校が建ち並び、それと平行するかのように、食堂などが軒を連ねる場所があった。
    きっと、学校帰りの生徒などが、客層なのでしょうか?

    店は、どこでも良いんだが、食べたいものは、決まっている。
    インスタント・ラーメンだ。
    俺は、今日、ネパールのインスタント・ラーメンが、メチャメチャ食べたいのです。
    2日目のカトマンドゥで、7年前の記憶が、呼び起こされたとき、あの味が、甦った。
    7年前、インドのシッキムで食べた、インスタント・ラーメン。
    それは、ネパールで良く見かけていたインスタント・ラーメンだったので、ネパールでも同じ物が食べられるはずです。

    通りの店の中で、商品棚にインスタント・ラーメンを積み重ねている店があったので、その店に入ることにした。
    店のおじさんに、商品棚に積まれている、インスタント・ラーメンのパッケージを指差し、

    2種類のインスタント・ラーメンを見せてもらい、俺は、mayosと言う名前の物を選び、2個注文。
    具材は、野菜にしてもらった。

    あまり明るくない、店内の席に着き、待つこと数分。
    二つのステンレスの器に入れられた、インスタント・ラーメンが、運ばれてきました。
    これ!これ!

    麺は、長くもなく、短いので、スプーンで食べる。
    具材の野菜は、タマネギ、人参、ピーマンが、細かく刻まれ、一度、炒めています。
    臭いは、チキンラーメンに近い感じがするが、そこまで濃い感じは、しない。


    熱々のラーメンを一口、食べる。
    アツっ!
    これ!これ!美味しいし、懐かしい味です。

    熱いので、スプーンですくってから、それを冷まして、ゆっくりと食べる。
    1杯目のラーメンを半分ほど食べた後、2つ目のラーメンを食べ始めた。
    うん、少し冷めていて、美味しいです。

    これなら家でも出来そうなので、お土産でたくさん買って帰ろうかと思います。
    二つのラーメンを完食した俺は、ゲストハウスを目指して、歩き出した。

    あかん、腹一杯や。
    2個は、多かった。

    ゲストハウスに戻り、殺風景な部屋のドアを開けた。
    大きな窓が3つあるが、あまり日が差し込まない。
    それでも昼間なら、特に問題がない明るさだった。
    電気が点かなくても、それなりに明るいこの部屋が、殺風景と感じるのは、壁や照明などが、ボロいからなのか?
    空間とベッドなどの家具とのバランスが、悪いからなのか?

    電気がきていたら、コーヒー飲みたいなと思い、試しに、扉の側にある、スイッチを入れてみた。
    チカチカッ!と小さな音がして、蛍光灯の明かりが点いた。

    やった!電気がきた。
    このタイミングを逃すまいと、リュックから、カトマンドゥで買った、ステンレスのコップを2個取り出し、

    その内の一つに、ペットボトルの水を注いだ。
    そして、7年前に買った、コイルヒーターを取り出し、コンセントに差し込む。
    グルグルと輪になっている先端を水が入ったコップの中に入れて、数秒。
    グラグラッ!とお湯が沸きました。


    もう一つのコップには、日本から持って来た、フィルターコーヒーを置いた。
    お湯が沸いているステンレスのコップは、素手では、熱くて持てないので、

    軍手をはめて、お湯が沸いているコップを持ち、フィルターコーヒーに向けて、ゆっくりと注ぐ。
    最後に、これまた日本から持って来た、小さなミルクを入れて、コーヒーが出来上がりました。

    食後のコーヒーを飲むのは、ネパール初だ。
    入国してから、今まで、ネパールの電力事情と俺のタイミングが合わず、飲めなかった食後のコーヒーをやっと飲むことが出来るのだ。

    おっー!美味しい。
    一息つけた。

    今朝、バクタプルを出る前に、身につけられなかった洗濯物を袋から出し、部屋に干す。
    コーヒーを飲みながら、ガイドブックを読んでいる。
    まだ、本格的な街散策は、してないが、もう少し部屋にいたい気分だ。

    しかし、部屋にいると、どんどん寒くなってきました。
    あかん、出歩いている方が、暖かいので、外へ行こう。

    ローライ35Tを片手に持ち、街をブラブラ。
    1時間後には、フィルム(36枚)を撮り終えていた。

    緩やかな坂道となっている、石畳の狭い路地を行ったり来たりしていると、何回も同じ子供達と会ったりもした。
    何回会っても子供達は、「ワン・フォトプリーズ」なんて、言ってきます。


    すれ違う人たちと目が合えば、「ナマステ。」なんて、挨拶を交わす。
    もう、今まで、何百回と、ナマステと言っただろうか?
    挨拶をするたびに、心が少しだけ、行き交うような気がする。

    「ワン・フォトプリーズ」と冗談で、言ってきた女子高生二人とも、何回もすれ違い、最後は、お互いに笑うしか無かった。

    そうやって、小さな出会いを繰り返して行くうちに、日本で溜まった垢が、剥ぎ取られてゆく。
    そして、心が、少しずつ洗われてゆくのです。
    旅は、心の洗濯でもあります。

    小さな池がある、マヘンドラ・チョークは、ちょっとした広場になっていて、人が多く、賑やかだ。
    池の入口には、赤茶色の門があり、その前に大人の男達が、一つの台を囲み、一喜一憂しながら、

    丸くて薄い玉を四隅の穴に入れるゲームをしている。
    シャッターが閉まっている商店の前では、子供達が集まり、鬼ごっこみたいな遊びをしている。
    その近くのスナックを売るリヤカーの屋台には、女子高生が集まっている。
    年齢層を問わず、この広場は、人々の憩いの場となっています。

    日本では、こう人が多く集まる場所は、好きではないのですが、
    こと海外において、賑やかな、こういう場所が、何故か、落ち着く場所へと変わります。
    カメラを持った俺は、人格すら変わるのでしょうか?
    血が騒ぐ。
    うるさいくらいに。


    結局、ローライでモノクロフィルム2本を撮りきり、ドゥリケル終了。
    午前中と合わすと、3本も撮りました。

    夕食は、バスターミナル近くの店で、チョウミン(焼きそば)とパコーラ(揚げ物)を食べましたが、

    チョウミンが、もう辛くて、ケチャップを大量にかけて食べていた。
    ローカルな食堂だったので、値段も安く、65Rsでした。

    バスターミナルの近くから、頂がオレンジ色に染まる、ヒマラヤ山脈を眺めていた。
    電線が、邪魔だ。
    でも、ヒマラヤ、キレイやな。

    ドゥリケルは、行こうか、悩んでいた街だったのですが、行って良かったです。
    ナガルコット、バクタプルもそうだったのですが、ドゥリケルもまた、同じように、人々が、とても優しくて、楽しかったです。
    ここまで、ホンマ!メッチャ楽しかったです。
    ネパールの景色と人々に感謝です。

    明日は、カトマンドゥに戻ります。
    これで、旅の前半が終了です。