たいした距離を走る事無く、バスみたいな乗り物は、月牙泉近くで、終了。
    これくらいやったら、帰りは、歩きで充分です。

    ここからは、砂漠を歩きます。
    皆さん、砂がクツの中に入らないように、オレンジ色の砂よけを足に付けています。
    確か、10元でレンタルできたと思います。
    俺は、そんなんしません。

    目の前に見える、楼閣と泉を目指して、砂漠の中をゆっくりと歩きます。

    泉の名前は、月牙泉と言って、鳴沙山の谷間に湧き出る、三日月の形をした泉です。
    昔は、沙井と呼ばれていた。
    不思議な事に、この泉、枯れた事がないという。

    足取りは、軽いが、歩みは遅い。
    太陽の光が砂漠に反射して、眩しい。

    これが、砂漠か。

    月牙泉に着きましたが、このような環境の中で、枯れた事がないなんて、やっぱ、不思議だ。
    泉の色は、もっと澄んでいるのかと思ったが、緑っぽい色で、澄んでいるとは、言いがたい。

    ぼーっとしていると、暑さで、日に焼けるだけなので、麓の楼閣へ行く。


    やっと日陰にありつけた。
    もう動きたくないと思うくらい、外は、暑かった。

    売店で、杏子ジュースを飲みながら、タバコを吸って、ぼーっとしてます。
    それにしても、この杏子ジュースが、美味しい。

    外を見ると、遠足に来たのか、小学生達が、あの砂漠の山に登っています。
    やっぱ、子供は、何処の国でも元気ですね。

    小学生達は、砂漠の山の頂に到着して、記念撮影しています。
    そして、あっと言う間に、降りてきました。

    子供達は、たった数十分で、もう真っ赤に日焼けしている。
    それに比べ、引率の女性の先生は、帽子にサングラス、長袖の服と完全防備の出で立ち。

    日に焼けた子供達は、とても笑顔です。
    そんな光景を見ていたら、ちょっと、砂漠の山へ行ってみようかなと思った。
    来た時よりかは、少しだけ日も傾いて来たし。

    楼閣の中で、30分以上もボーッとしていた、俺は、重い腰を上げて、いざ砂漠の山へ。


    砂漠の山は、歩けど、歩けど、進みません。
    3歩、歩いては、確実に2歩は、下がっている。
    暑さもあり、かなり体力は、消耗する。
    ハア、ハアと息を切らしながらも、わずかながら登っているのが、わかります。

    その証拠に、さっきまでいた楼閣の高さを超えました。

    ここまで来たら、もう途中で降りる気はない。
    絶対に、頂まで行き、この山の向こう側を見たい。

    さっきよりも激しく息を切らせ、登っているが、先へ進んでいる気が全くしない。
    それくらい足取りは重たい。それにメッチャ暑いので、とにかくしんどい。
    汗が、ボタボタと落ちる。

    こんなしんどい思いをしたのは、久しぶりだ。

    30分かかって、やっと砂漠の山の頂に着いた。
    「なんやねん!これ!メチャメチャ、しんどいやん」と思わず、声を上げてしまうほど。

    周りの中国人の人たちと、お疲れ様と言う感じで、笑みをかわす。
    景色もすごく良くて、ほんま達成感が湧きました。

    もう、しばらくの間、歩きたくない俺は、砂がたくさん入ったクツを脱ぎ、砂漠の稜線に、腰を下ろした。
    素足に熱を蓄えた細かい砂の感触が気持ちいい。

    反対側の景色は、見渡す限りの砂漠だった。
    こんな広い砂漠を見たのは、初めてだった。
    さらに先へ行こうなんて、全く思わない。それくらいしんどかった。


    座り込んだ俺は、砂漠の景色を見ながら、旅を振り返った。
    出発してから、今日で9日。
    あっと言う間でした。
    最後の敦煌まで、ほんまに余裕ってもんが、なかった気がする。
    写真も、ここ敦煌での写真が、一番多いのが、その証拠かなと思う。

    でも最後が、鳴沙山で良かったです。ここメッチャ、気持ち良い!最高に気分が良いです。
    日もだいぶん傾いて来て、俺の影も、ものすごく長くなりました。
    もうちょっと、遅い時間に来た方が良かったかな。
    黄色い砂漠が、オレンジ色へと変わってゆく。
    光と影のコントラストが、美しい。

    登るのに30分かかった、道のりも、下りはたったの1分ほどだった。
    転がって、降りたいぐらい、気分爽快。

    降りた先には、看板の裏側が見えて、表は中国語ですが、裏には、日本語が書かれていました。
    体調が悪い人は、登らないようにとか、遠くへ行っても知りませんなど。
    まあ、それもそうだ。

    裸足のまま、砂漠の山を降りた俺は、楼閣で靴を履いて、出入り口へと向かった。

    お腹空いた。