都会やん!昆明

     玉渓からバスに乗って約1時間、ここは標高1,891m、そして一年中気候が穏やかなため、“春城”とも異名をもつ、雲南省の省都、昆明に到着した。

     昆明駅前のバスターミナルに着くと思っていたバスは、地図の端っこのバスターミナルに到着したので、僕は、タクシーに乗り、駅前を目指すが、このタクシーの運チャンは、中国ではよくある出稼ぎ労働者のため、まだ昆明の地理に詳しくはなく、地図を見たり、人に聞いたり、または同業者に道を尋ね、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりと悪戦苦闘。
    「大丈夫かいな?」と思いながら僕は、そんなタクシーに乗りながら、雲南省の省都、昆明を眺めていた。

    4斜線道路に行き交う車や往来する人々、立体交差や立ち並ぶ高層建築。
    それに、無機質な街にしか似合わない、外資系のファースト・フードの看板など。
    多くの旅行者から、「昆明は都会だよ」「行ったらビックリするよ」など、ウワサは聞いておりましたが、これほどの都会だとは、思ってもいなかった。
    僕は、昆明が想像以上の都会の様に、ただ驚いていた。「都会やん!昆明。」

    (左)隻龍綜合商場(商店街) (右)市場にて

     さて、タクシーはやっとのことで、昆明駅前に到着。
    さんざん迷ったあげく、メーターに表示された料金は請求出来ないと思った運チャンは、僕に、初乗り運賃だけを請求した。
    駅前には、たくさんのホテルが建ち並び、宿探しに苦労することは、全くなかった。

    宿から、ほんの少し歩けば、昆明のメインストリートの北京路が南北に延びている。
    通り沿いには、CD屋、カメラ屋、服屋、飲食店それにホテルや企業のビルなどが、立ち並んでいる。
    僕は、カメラ屋でフィルムを補充。店によって値段が違うが、一番安かった所で、スライドフィルムが1本=25元(約370円)でした。

    そして、この通りから脇へ入れば、たくさんの露店が並ぶ、活気ある通りがいくつもあった。
    バンコク以来、約1ヶ月ぶりの大都会の活気に、僕もつい目移りしてしまいます。
    僕は、街を散策しながら、とりあえずの目的地、西寺塔と東寺塔を目指した。

    ビルなどが建ち並ぶ金碧路を歩き、中国式の大きな門のある広場のお土産街を見てまわったりと、別に何も買わないのですが、ちょっとうれしくて、ついブラブラ。
    西寺塔は、もう少しで着くはずなんですが、見あたらないので、通りかかった若者男女4人に道を尋ね、「あぁ、すぐそこだよ。」と言われ、西寺塔に到着。
    かつては、高層建築だった西寺塔も、今じゃすっかりビル群に埋もれてしまっていて、大通りからは正面に行かなければ見えなくなっていた。

    (左)路地裏にて (右)砂鍋面

    次は、西寺塔の向かいにある、東寺塔へ。
    西寺塔の周辺は、公園のような感じになっていましたが、大通りを横切り、東寺塔の方へ歩いていると、この周辺は、昔の城門などが再建されていて、すっかり観光地化されて、喫茶店やお土産店などがたくさんあります。
    僕は、喫茶店へ行き、アイスコーヒーを飲みながら少し休憩。

    東寺塔の入場料は5角(約8円)。園内は狭いですが、樹木や芝生が手入れされており、小さいながらも、キレイに整っていた。地元の人々は、ここで麻雀をしたり、ゴロゴロとしたりと、西寺塔の公園と共に、ここも地元民の憩いの場となっている。

     その後、僕は東寺塔周辺の路地裏をブラブラと路地裏トラベラーの本領発揮といきたいところでしたが、昆明も現在、他の中国の都市と同じように、高層建築ラッシュだ。
    古い家を取り壊し、街がどんどん画一的になってきていて、おもしろくない。
    上海、広州と見てきた僕にとっては、昔ながらの家も少なく、ちょっと残念。
    市場もたくさん見ました。布地の問屋街のような市場や、食品の市場など、どこも活気があり、見ているだけで、楽しかったのですが、写真を撮ろうとすると、やはりここも顔を隠す人が多かった。

    夕暮れの東寺塔

     時刻は、やがて夕食時となり、僕も夕食を食べに食堂へ。
    本日のメニューは、この店に並んでいる、砂鍋米線。雲南版、鍋焼きうどんって感じです。
    夕食後、再び西寺塔へ。夕日に照らされた西寺塔と東寺塔は、赤く染まり、公園で凧揚げなどをする人々を暖かく、見守っているようだった。

    日も沈み、夜になると、だいぶん肌寒くなってきたので、そろそろ宿へ帰ろうと、リヤカー屋台で買った、パイナップルを食べながら、北京路を歩いていた。
    途中、売店で絵葉書を買い、そこのオバチャンと少しお話。というか、オバチャンが勝手に、僕を香港人だと、勘違いをしていて、オバチャンが勝手に会話を弾ませていただけで、僕はほとんど聞き取れない。

    夜の昆明を長袖の服だけで、歩いていたら、ちょっと体調が悪くなったような気がする。
    最近、中国で変な風邪(後のSARS)が流行っているようなので、気を付けなければ。





    奇妙な組み合わせ〜石林一日游にて

     今日は、旅行会社が主催する、石林一日ツアーに参加した。
    僕は今まで外国人を対象としたツアーにしか参加したことがなかったが、今回は中国人観光客を対象としたツアーなので、勝手が違うのか、どうなることやらで少々不安です。
    石林は、昆明郊外にある、雲南省有数の景勝地。

     当日、僕が集合場所の旅行会社に到着したのは、予定時刻よりも15分早い、午前7時45分。
    しばらくして、ツアコンの姉ちゃんも現れ、その次に現れたのは、なんと!バッチシと正装をした、普段でもなかなか見ることが出来ない、民族衣装を着たどこかの民族の老夫婦。
    なんで!?あなた達がこんなところに?外国人にとって雲南省は、あなた達と会うことがメインなんですよ。
    と思いましたが、彼等も僕と同じ様に、昆明に旅行に来ているだけだ。
    ツアコンの姉ちゃんと、僕と老夫婦の4人で、バス乗り場まで歩いて行きましたが、外国人と少数民族という、組み合わせは、都会の昆明ではかなり目立っている。
    すれ違った人、ほとんどの人達が振り返るくらいに。

     バス停には、すでに集合していた、他の旅行会社から来ている、中国人達が出発を待ちわびている。
    ここに参加している外国人は俺一人。それ以上に注目を浴びている老夫婦。
    なんか楽しくなりそうな予感。
    そしてバスは、午前8時頃に、約20名のツアー客を乗せ、石林一日游
    しかしバスは、すぐには石林には行かず、僕達が最初に行ったのは、お土産宝石店。
    ここには翡翠の腕輪やアクセサリーなどが売られていて、中国人たちは、買い物をして楽しんでいましたが、僕は、外で持ってきていたミカンを食べながら、みんなが帰ってくるのを待っていた。

    (左)岩泉禅寺 (右)雲南民族人形

    しばらくすると、少数民族老夫婦も戻ってきたので、僕は彼等に何族なのか聞いてみた。
    彼等は、元江に住む、哈尼族(ハニ)の人で、その哈尼族の中の、何とか族だと教えてくれたが、僕らの中で分類されている中では、哈尼族だ。
    これを機会に、僕は彼等とよく話し(筆談)をするようになった。
    老夫婦は、村で診療所を営んでいて、久しぶりに二人で旅行に来たことなど。

     バスは再び出発し、今度こそ石林かと思いきや、次に止まったのは、岩泉禅寺というお寺。
    ここには、けっこう長時間の滞在。お寺なんか、どうでもエエやん。早く石林へ行こうや。
    と思うのは、ツアー客の中のただ一人の外国人の僕だけなのでしょうか?

     更に、バスで10分ほど移動したところで、昼食時間。
    食堂で自腹でご飯を食べる。ここで一番安かったのが、10元の炒飯ですが、いくらなんでも10元は高すぎる。街中の倍の値段である。せっかちな中国らしく、昼休憩は30分ほどしかなかったが、僕はこの間に、売店で、雲南各民族衣装を着ている、リカちゃん人形を誰かのお土産にしょようと思い、10元で購入。
    数ある中から、僕が選んだのは、タイ族の人形を買ったが、なんでこんな物を買ってしまったのでしょうと、後から後悔。

    そして、ついにやって来ました石林に。
    ここで当日参加の人たちは、各自で切符を買わなければならないが、80元だと言っていた。
    それにしても、すごい人だ!さすが大観光地の石林だ。見渡す限り、人だらけです。
    僕らも早速バスを降り、石の林と呼ばれる、石林へ。

    (左)哈尼族老夫婦、石林にて (右)石林サニ族演奏会

    この周辺に住む、サニ族の人達が、民族衣装を着て、ガイドや写真撮影の客引きに躍起になっているが、たちの悪いことに、漢族も混ざっているらしく、見分けがつかない。
    僕は、鋭くとがった石の林よりも、あまりにも多い、人の数に驚いた。

    僕は一緒に参加した、哈尼族の老夫婦と共に、記念撮影を頼まれたりしながら、一緒に観光していた。
    哈尼族の男性が、僕に「あの岩は、手のように見えるだろ。」や「あれは像だ。あれは亀だ。」と説明してくれる。そして最後に阿詩瑪という所へ行き、石林観光は終了し、僕達ツアー客はお茶屋へ。

     ここで説明を受けて飲んだお茶が、またすばらしく美味しかった。
    最初に飲んだのが、苦瓜露という、苦いお茶。次が、生(太に心)と書いた、甘いお茶。
    その次が、冷茶と言う、少し甘く、香りの良いお茶。
    そして最後に飲んだのが、(さんずいに真)紅功夫茶と言う、甘い香りと味がするお茶。
    値段が安ければ買っても良かったのですが、どれも100元前後だったのでやめた。

     石林観光も終わり、後は昆明へ帰るだけと思っていたのですが、バスは昆明市内の漢方薬屋のような所に止まり、僕達はここで、足裏マッサージをしてもらった。

    漢方薬が入っているお湯に足をつけて、足や脹ら脛にクリームを塗って、足をモミモミと気持ちいい。
    白衣を着たオッチャンが、説明しているが、これは身体に良いと言っているに違いない。
    最後に、こんなマッサージがあったのは、とても嬉しかった。

     そして、出発地点のバス停に帰ってきたのが、午後6時。ツアー代金は80元。
    僕は、すっかり仲良くなった哈尼族老夫婦と一緒に、途中まで帰り、楽しかった謝謝!と言って、再見。
    なかなか楽しい一日でした。
    哈尼族老夫婦、石林にて