雨の日の静かなハノイ

     今日のハノイは寒かった。
    ホテルのドアを開けると、ピューっと風が体に突き刺さる。おまけに雨も降っている。
    俺も今日は、服を二枚着て、傘を持ってお出かけ。ベトナムでは折り畳み傘が珍しいのか、ホテルの女性が「私の傘と交換して」と俺のジジ臭い傘をうらやましがる。
    今朝のハノイは雨なのでバイクが少なく、いつものやかましいハノイは少し静かだ。
    そして寒いのでハノイっ子達はここぞとばかりにセーターや革ジャン、ジャンパーを着て、うれしそうに街を闊歩しております。
    ハノイの女性は南部の人達がサングラスやマスクをして日焼けを防止をしている姿はカッコ悪いので嫌いだと、重ね着が出来るハノイがお洒落だと言っておりました。
    しかし、セーターや革ジャンを登場させるほどじゃないけども。

     今日の俺は男性用のアオザイを買うため、HONG BONG通りをめざす。
    このあたりは土産アオザイ屋が多い。
    店に入り、「男性用のアオザイはありますか?」と5,6軒の店に行ったが、ない。
    オーダーメイドならあったが、どうも生地が気に入らない。
    テカテカした生地やラーメン屋みたいな模様が入っていて、何か違う。
    たまに欧米人向けなのか、チャイナ服みたいなガウンっぽいのが売っていたが、そんなもんアオザイじゃありません。

    俺が昨日見たアオザイはどこに売っているのだ。


    僕は昨日、ハノイ旧市街の南の、とある寺に行った時に男性用のアオザイを見た。
    みなさん茶色のアオザイを着ていたので、近所に売っているのかと思いあっちこっち探したが、どこにも売っておりません。
    ブラブラとそこからハノイ駅に向かっている時か、後にして歩いている時か忘れたが、駅周辺の仕立屋で売っていたのを思い出し、バイタクで行ってみることにした。
    話はアオザイと全く関係ないが、ハノイ駅構内には未来のハノイの模型が置いてある。
    この模型がけっこう今のハノイを見ると、失礼だが笑えました。

     アオザイの色は茶色っぽいのが濃いのと薄いのが2種類あるだけだった。
    ちょっとチャッチイが140,000VNDでアオザイを購入。
    そしてこのまま徒歩でホアン・キエム湖の近くにある郵便局へ行き、さっき購入したアオザイとフィルムなどを送った。
    これが高かった。全部で1.3kgあった。値段は220,000VND。
    ボロボロの段ボールに荷物を入れて、ガムテープでグルグルと巻き。荷物はカウンター内のその辺に置かれた。
    果たして、ちゃんとこの荷物は日本に届くのだろうか?
    帰国したらちゃんと届いておりました。フィルムも問題なかったです。

     郵便局を後にして、両替屋のおばちゃんや物売りの少年達を振り切り、少しカフェで休憩。
    ハノイには、小綺麗なカフェがいくつかあるが、欧米人ばかりで、現地の人は少ない。
    昨日は公園で休憩をし、コーラを飲もうと買ったら、ぬるいコーラがやって来て、お腹こわして、日系某高級ホテルのトイレに行って、スッキリしたまでは良かったが、何故か僕が生み出した物は流れず、便器の水位がドンドン増し、そしてついに決壊。ヤバイ!
    急いでホテルのフロントへ行き、英単語やジェスチャーでこのことを伝えたが、ホテルの人の答えは「ノー・プロブレム。」と落ち着いて答えた。
    俺は「何がノー・プロブレムやねん、うんこ混じりの水が便器からあふれ出て、床がウンコ水びたしになってんねんぞ。」って言いたかったが、まぁええ。こういう時は逃げるが勝ち。

    俺は急いでホテルを後にした。という過去を持っている。
    なので今日はゆっくりとカフェで休憩することにした。


     そして次に僕が向かったのは美術館。
    バイタクで行っても良かったが、寒いので乗る気にはなれず歩いて行くことにした。

    途中、変なオッサンが案内したると言い寄ってきたが、無視して、近くの青年に道を尋ねると、オッサンと反対方向を指さしたので、オッサンを信用せず、青年を信じその通りに歩くと、美術館に到着。
    企画展でKOREAアート(平面)をやっていたが、僕はベトナムアートにビックリ!
    1940年代〜70年代くらいまでの絵画や彫刻のテーマは戦争、ホー・チ・ミン、
    農業、共産主義というものだったが、技術的にはすばらしく見応えがありました。

    そのあとは美術館の前にあるVan Mieu(文廟)に行った。
    ここがハノイの観光地で一番よかった。
    池の畔では、美術学生が静かに絵を描いていたりと、喧騒のハノイとは思えない静かな空間だ。
    そして僕はフランスパンのサンドイッチ(バン・ミー)を食べながら、ブラブラと歩いていた。

     ホテルへ帰り「明日の切符をくれ」と言ったが、まだくれない。とても不安だ。
    これからは切符の手配は必ず自分で行おう!
    そしてこの不安は翌日、見事に的中。




    サイテー炸裂!(ハノイ〜フエ)

     今日は、ハノイを発ち、夜行列車に乗って、フエへ行きますが、切符はまだもらっていません。
    ベトナム初日に、この宿で切符の手配をすることを無理矢理させられ、もう6日も経っています。
    こういう場合は、事前に切符を渡すということが、筋じゃないのか?オイ!
    ベトナムは、外国人に対しては、金をボッタクルことは、すでに経験済みやけども
    この宿には、ほんま最初から最後まで腹立たしかった。

    ハノイに到着した夜の事やハ・ロン湾1日ツアーのことは、すでに書いたが、
    それ以外にもいくつかありました。

     ちょうど銀行が閉まっている日に、お金がなくなり、両替を宿で出来るか?と聞いたところ
    宿のオーナーが、ここでも出来ると言ったので、僕は両替を頼みました。
    US20$を両替しようとコイツに渡して、VNDで手渡されたのが、140,000VNDだ。
    俺も、もうハノイに来て数日経っているので、レートももう把握している。
    「おい!少ないぞ!US1$=14,500VNDやろ。」と言うと、
    コイツは「ソーリー、ソーリー」と言って、残りの金額を渡したが、ボッタクル気満々でした。

     オーナーが、こんなヤツなので、スタッフも当然サイテー。
    スタッフの一人に、俺は絵を描いてあげた。けっこう上手に描けたので、コイツに絵をあげたところ
    お礼にと言って、ペットボトルの水をもらった。
    そんならその日の夜、コイツが「朝の水のお金を払え。」と言い出した。
    当然、そんなお金は払ってはいないけども、後味の悪さだけが残った。

     このように、オーナーとスタッフ総出で、俺から必死に金を巻き上げようとしていた。
    そして、ハノイを発つ夜、サイテーが炸裂した。


     なんと切符を手渡されたのは、フエにいく電車の中だった。
    そしてその切符を見ると俺が払った金額の半額の410,000VND。「こらっ!ちょー待てや!」
    プリンスホテルのスタッフに言い寄ったが、コイツは「ベトナム人と一緒、一緒。ベリーチープ。」と言う。
    さらにコイツはチップでUS10$くれとまで言ってくる。なんで俺がオマエに金払わなあかんねん!
    俺は、ハノイに来てから、サイテーなオマエ等と出会って、自分に目覚めたんだよ。
    俺は旅始まって以来の喧嘩腰でコイツに言い寄る。
    コイツは、ヘラヘラとした表情で俺の前に手を差し出す。
    俺はコイツの手を払いのけ、胸ぐらを掴んだ。その時!
    周りの乗客の冷ややかな視線が、全て俺に集中していることに気が付いた。
    何故か周りにいるベトナム人は俺から電車賃をボッタクッタ、プリンスホテルのスタッフの味方。
    「あんた、外国人で金持ってるんやろ。そんなら払えや」という感じで、俺は四面楚歌状態。
    クソッ!何で被害者の俺が金払わなかんねん。お前ら、善悪の区別もできひんのか!
    ハノイは楽しかったのに最後の最後で後味が悪いものになった。

     もし、またハノイに行くことがあったら、こいつらに仕返ししたいと思っております。
    プリンス・ホテルをぶっ潰してやる!爆破してやる!
    今は、ムカツイテ、怒りが納まらず、眠れません。