バイタク屋チョム

     今日はゆっくりと、朝10時くらいにキャピトル1階のレストランで、朝食のヌードルスープを食べていたら、
    昨日、知り合ったバイタクの兄ちゃんが、手を挙げて俺を呼んでいる。
    昨日の夜、いつも通りキャピトルにいると、nagy君の知り合いのバイタク屋を紹介され、「明日は俺が、オマエの行きたいところに行ってやるよ。」と言われ、
    「じゃあ明日頼みます」と約束していたのだ。

     特に行きたい場所は、なかったけども約束してしまったし、どっかへ行くしかない。
    と考えて、飯を食っていた。
    もっと遅く来いよと思ったが、俺はそのバイクに乗り、まずはPOST OFFICEへ。
    そこで手紙を2枚出した。ちゃんと日本に届いておりました。
    それにしてもこの周辺は、とても物騒に感じた。
    制服を着た兄ちゃん達が、ウンコ座りでたむろしており、そのうえ銃も持っている。
    そして俺を睨む。用事が済んだ俺は、その場をサッサト後にした。

    プノンペンにある古い建物

     バイタク屋の名前は、チョム。
    俺は、コイツに「みんな銃を持っていたね。」と言うと、
    チョムは「俺も持っている。でも弾丸は、別の場所にある。」と言う。
    カンボジアは内戦終結後、武器の回収をしなかったので、銃などが出回り、持っている人が多い。
    でも、こんなバイタク屋までもが、持っているなんて、俺もビックリです。
    そして次に向かったのは、セントラル・マーケット。
    Tシャツを買ったり、CDを買ったり、ベトナムのチェーみたいなカンボジアのデザートを食べたり、ブラブラと散策。

    ここは観光地化されてはいるが、ベトナムのベン・タイン市場のようではなく、庶民と観光客が入り混じっております。

     お次は本日のメイン・イベント。バイタク屋のチョムの家へ。
    昨日の夜、彼が好きなところに連れて行ってやると言うので、俺は「あんたの家に行きたい。」
    と今朝、言っていたのだ。チョムは快く承諾してくれて、俺をバイクに乗せ、連れて行ったくれた。
    彼の家は高級住宅街を抜けた、捨てられた生ゴミが散乱している、スラム住宅街?にあった。
    生ゴミは、東南アジアの暑さで腐り、ものすごい臭いを放っている。
    すれ違う住人の目は、荒んでいるというか、鋭かった。
    「こんな所、一人じゃ絶対に来られない。」
    チョムの家は、ボロイ家だったが、周りの家と比べると、まだ良い家だ。
    家の中には、彼の奥さんとまだ10ヶ月の赤ちゃんがいた。

    セントラルマーケットと店内のデザート屋
     

    奥さんの名前は忘れたが、とてもキレイな人だ。赤ちゃんの名前はダッカラ。メッチャカワイイ。
    とても目がキレイ。俺はダッカラと親しくなりたかったので、イナイイナイバー。などしていくうちに、握手するようになり、高い、高いまでできるようになった。
    初めは怖がっていた彼女だったが、今はすっかり仲良しだ。

    チョムの家は1ヶ月の家賃がUS15$だと言っていたが、カンボジアの所得を考えると、けっこう高い家賃だ。
    それに奥さんもいるし、かわいい子供もいる。あんた仕事がんばらなあかんよー!
    生活は苦しいと思うが、3人は幸せそうだった。このまま平和なカンボジアになればいいのに。
    ダッカラがここの家庭に光りを与えていた。
    俺は「ありがとう。写真必ず送るから」と言って、チョムのバイクに乗って、キャピトル前に帰った。

     コーヒーを飲み終えた俺は、ブラブラとプノンペンの街を歩いた。
    オルセー・マーケットへ行ったり、テキトーにブラブラと歩いた。
    昼間はなんら普通に歩けるこの街だが、さすがに夜は、出歩く気にはなれなかった。


     俺はプノンペンではキャピトルを出発&到着地点にしていた。
    一緒にカンボジアに入国した日本人達もそうだった。

    だからここに来ると、誰かに会えるので、ここで、過ごす時間が多かった。
    今夜もまずnagy君と会い、飯を食いに行った。
    肉まんとビール。プノンペンで食べた中でこの肉まんが一番おいしかった。
    そしてお次は、ベトナムで病みつきになったホビロン(孵化しかけのゆで卵)。
    ここでも食べれるなんて、うれしいかぎりでございます。
    地元の人は5、6個食っていたが、俺は1個食べれば充分です。

     次の屋台に行くときにAnoさんと合流。そして煮た豚足とご飯。
    少し辛いが、久々の豚足に大満足。こうしてB級グルメディナーを終え、またキャピトルの1階へ。
    しばらくしてtomy君も合流し、4人でアンコール・ビールで乾杯。
    今日でひとまずお別れだ。俺とAnoさんは明日、シェム・リアップへ。
    tomy君はもう少しプノンペンに滞在。そしてnagy君も当分プノンペンに滞在と
    今後の予定は皆バラバラだ。でもみんなと出会えたから、プノンペンは楽しかったです。Thanks!

    明日は早起きしなければ。いよいよアンコール・ワットへ。

    帰国後、チョムの家で撮った写真を彼が書いてくれた住所へ送ったが、
    届くことはなく4ヶ月後、船便で送り返されてきた




    シェム・リアップへ

     プノンペン。もう少し居たいような、今すぐここから立ち去りたいような街だった。
    今回の旅で一番歩かなかった街、プノンペンを離れ、俺はスピード・ボートでシェム・リアップを目指す。
    キャピトル前からボート乗り場までは、なんと!超豪華観光バスで移動。
    カンボジアにもこんなバスあったのか?と目を疑うような豪華さで、俺とAnoさんは目を丸くし、もうビックリ。
    Anoさんは初め、バスでシェムリ・アップに行くと言っていたが、人が集まらなければ、スピードボートで行くと言っていた。どうやら人が集まらなかったようだ。

     ボート乗り場に着くと、でっかいボートがゆらゆらと浮かんでおります。
    「おっー!さすがUS22$だぜ。これもまた豪華だ。」と思っていると、その隣の隣のこの中のボートではこぢんまりとしたボートで行くらしい。
    大丈夫かな?ちょっと不安になるが、ボートに乗り込んだ。ボートの中は蒸し暑い。
    荷物を屋根に乗せる作業を終え、ボートは出発。

     乾期のトンレサップ湖は雨期に比べ、だいぶん小さくなっている。
    それでも大きいのだけども、雨期になると倍くらい、大きくなるらしい。
    太陽の光を浴び、水しぶきを上げながら、進むこと4時間ほどで、シェム・リアップに到着。
    ボートの乗り換え場でゲストハウスの人達が客引きをしている。
    「こんな事は、陸でしなさい。」とても狭いこの場所でこんなことを大勢の人達がやっている。
    何で?こんな所で。ものすごくウットーシー。

     やっと湖岸の船着き場に到着。と言っても、1箇所に多数のボートが集まっているのでここから、陸に上がるためには、船を渡り歩かなければならない。
    俺の荷物は、ゲストハウスの兄ちゃんが持ってくれていたが、彼はフラフラと落ちてしまいそうで、不安だ。
    俺はやっと陸の一歩手前までやって来たが、桟橋は今にも折れてしまいそうなほどの1本のボロボロ板だ。
    おっー!これが世界文化遺産アンコール・ワットへの入り口なのか。
    俺は、これを見た瞬間、カンボジアという国が、少し理解出来たような気がした。
    順番待ちをしている間、もしかしたら誰か湖に落ちるかもしれない。と思って、眺めていたが「この悪臭を放つ、トンレサップ湖には絶対に落ちたくない。」という気持ちが伝わってくるかのように、誰もが必死でこの桟橋を渡っていた。俺もやっと陸に。

     俺とAnoさんはとりあえずチェンラーと言う有名な日本人宿に行こうということで、それぞれバイタクに乗って、出発。ここからかなりの距離があった。もう顔中、土埃だらけ。
    ゲストハウスはUS3$の部屋は空いていなかったので、俺はしかたなくUS6$の部屋へ。
    Anoさんはゲストハウスを変更した。俺もこのとき変更しとけば良かった。
    そして2人でコンビニへ行き、ビールを買って、
    「シェム・リアップに無事着きました。」カンパーイ!!

    プノン・バケンへ行く途中に見たアンコール・ワット

     夕方ゲストハウスのバイタクでプノン・バケンへ行くことにした。
    バイタク代は3日でUS18$だったと思う。
    プノン・バケンへ行く途中にアンコール・ワットを初めて見た。
    「これが見たかったのだ俺は。ついに来たか。」
    もちろん、写真では何度も見たことがあったが、実際に来てみると、時を越えたような感覚だった。
    とても感動。バイクを止めてもらい、浸る。

     プノン・バケンは丘です。俺はそんなこととは全く知りませんでした。
    ボートの中で、ちゃんとガイドブックを読んでおくべきでした。
    しんどいのに登るんかいな!でもこっからの眺めは、メッチャいいかもしれない。
    俺はひたすら登り続けることにした。後ろを振り返らずに。
    頂上には寺院?遺跡があった。後から見ようと思い、立ち止まることもせず、一気に登って、本当の頂上に着き、そして一気に振り返った。

    俺の目には想像を絶するほどの、壮大な森林とその中のアンコール・ワットが目に飛び込んできた。
    うおぉぉぉー!スッゲー!あまりの感動さに俺の目はすこし潤んだ。
    アンコール・ワットだけは、写真やテレビではなく、自分の目で見たいと思っていた。
    本当に来たんだ俺は。うれしいゼ。

    プノン・バケン

     ここからの夕日を鑑賞し終えた俺は、ゲストハウスに戻って、シャワーを浴びようとしたが、なんてこったい!水が出ません。最悪。今日は移動で体中が土埃だらけなので、シャワー浴びたかったのに。
    US6$払って、これかい!ムカツキました。
    しゃーない!もう寝ようと、人が気分悪く、ベッドで横になっていると、外から日本語が聞こえてくる。
    こういうとき、英語や他の言葉だったら聞き取れなくて、いちいち気に障らないが、意味の分かる日本語だと、耳障り極まりなかった。ウルサイ!またまたムカツイテきました。

    だいたいやっと日本から離れられたのに、俺は、何でカンボジアの日本人コミュニティーのような宿に泊まってんねん!
    そう考えるとさらにムカツイテきたので、明日、宿を絶対に変えようと思い、荷物をまとめて、眠ることにしたが、夜中になっても、外の日本人のおしゃべりがウルサイ!ウットーシー。