陸路入国(ベトナム〜カンボジア)

     朝5時半くらいに目が覚めたが、2度寝は出来ないなと思い、ゆっくりと準備をした。
    そして俺がバスチケットを買った旅行会社、シン・カフェへ行き、ベトナム式コーヒーを飲む。
    あぁー最後か。今度は、いつ飲めるのだろうか?このコンデスミルク入りのコーヒーを。
    午前7時にバスが来た。うーんSinh・Cafeは時間に正確だ。
    バスに乗り込むと、予想以上に旅行者が大勢いる。
    俺は、ポツンと一人、窓際の席に座る。
    さあ、バスが走り出した。いよいよベトナムともお別れか。
    外に目をやると、アオザイ姿の女性が、通りを歩いていた。
    あのアオザイも、もう見られへんねやー。

     感傷に浸る間もなく、バスの乗り換え。
    やはりSinh・Cafeはヤバイのか?と思ってしまった。
    このバスがこれから通るルート、モック・バイ(ベトナム)〜プノンペン(カンボジア)は、あまり治安がよくないらしい。特にカンボジア側。
    こういうときに狙われるのが、外国人旅行者を乗せたツーリストバスが多い。
    荷物で2箇所ある、バスの出入り口の1箇所をふさぎ、バスは走り出した。
    途中、1回の休憩を入れ、約3時間半で国境の街、Moc Bai(モック・バイ)に到着した。
    ここで朝食(バス代に含まれていた)を取った。

     このころから、俺を含む日本人4人は話しをし始めた。
    いつ出国していいかわからなくて、お互いにどうして良いのかわからなかった。
    とりあえずここにいてもしょうがないので俺達は出国の手続きに行った。
    出国の手続きはまぁーすんなりと何事もなく終わったが、やっぱりあの黄色い紙は重要な紙らしい。
    カンボジア側のバスはまだ来ていない。
    でも、こんな何もないところにいても、しょうがないので、続いてはカンボジアに入国。

    「これが陸路国境越えかー。」もっと感動的かと思っていたが、景色も変われへんし、暑さや、何かよくわからんUS1$の要求のため、ダラダラとなってしまった。
    ここで払うUS1$は彼らのお小遣いになると思うが、一緒に入国した日本人女性が、粘りに粘り交渉してくれたおかげで4人でUS2$になった。
    俺はあきらめてました。助かりました。

    左:カンボジア側の茶店 右:カンボジアの大平原

     俺達4人はカンボジア側の茶店でバスが出発するまで休憩。支払いはベトナムVNDでした。
    ここでコーラをキューと飲んでしまったのがイケナかった。ハラにきた!
    カンボジアは予想通り道が悪かったので、バスが揺れるたびにハラにきた!
    「ヤバイ!ヤバイ!」バスは少しだけ走って、休憩。
    どうやらランチタイムらしい。俺はここでトイレ。どっすんトイレでした。
    カンボジア初の食事は、インスタントラーメンwith野菜。おいしくないよー。

     1時間ほどでここを離れ、バスはプノンペンへ向けて、悪路をダラダラと走っています。
    バスの揺れに体を合わせ、窓から景色を眺めていた。カンボジアは空も陸も人も牛もゆっくりしております。
    子供達はバスに乗っている俺達に手をふったり、牛もノロノロと歩いている。
    大空も果てしなく大空で、陸も大平原って感じです。
    そんな景色がずっーーーーーと続き、やっとプノンペンに入った。

     プノンペンはアスファルト道だったが、状態はかなり悪く、穴ぼこだらけ。
    午後6時ごろにやっと『CAPITOL』(プノンペンで有名なゲスト・ハウス)に到着。
    荷物を受け取り、ここの部屋が空いていたので、そのままチェック・イン。
    お腹が空いていたので、すぐに外に出たので、この時はこの部屋があんな部屋だなんて・・・
    ことには気づくはずもなかった。

     『CAPITOL』の1階のレストランにはさまざまな旅行者がたむろしている。
    あきらかに性病と思われる、おっさん達や、アジアかぶれの欧米人や俺と同じようなバックパッカー達。
    俺もそこのレストランに行くと、一緒にカンボジアに入国したnagy君がいたので、俺もそっちに行き、つづいては、国境で必死に交渉してくれたAnoさんも加わり、3人で飯を食べに行くことにした。
    分厚い麺というか、菱形の平べったい麺料理だ。うーんあんまりおいしくない。
    ここで俺らは、「無事入国できました。かんぱーい。」とアンコール・ビールをグイっと飲む。

    キャピトルのレストランから見たプノンペン

     俺達が食べ終わった頃に、一人の日本人のおっさんがやって来て、俺らの横に座った。
    そして、このおっさんは見事に俺達3人の世界をブチ壊してくれました。
    おまけにキャピトルのレストランにまでついてきやがった。
    オッサンは「ここには昔のアジアがあるねぇー。」なんてほざいていたが、オマエの昔のアジアって”売春”ちゃうんか?と3人が思うほど、日本ではあきらかにモテなさそうで、デブで暑苦しくて、エロエロ眼差しで女性を見つめ、そのうえ何で?そんな服なん?
    俺らは一応、ここでお開きにして、オヤジをおぱらった。

     暗黙の了解のように再び集合して、4人目の日本人tomy君も加わり再び飲みだした。
    そして再び、入国乾杯!と言って、ビールを飲んでいた。10時になりCAPITOLは閉店。

     4人はそれぞれの部屋に帰った。俺は部屋のドアを開けた。そして目に飛び込んできた光景は!
    何!?このしたたり落ちたような、赤茶色の液体は?壁にもある。いやな妄想が頭をよぎる。
    カンボジア。特にプノンペンでは、あまり良いウワサはなく、日本人が殺されたやナイフで刺されたや欧米人が殴られて重傷をおったなど、まだカンボジアに来て、初日だと言うのに、入ってくるウワサは、そんな事ばかりだった。
    そんなブッソウなウワサばっかりなので、そんな方向に考えが向かってしまう。
    おまけに壁はベニヤ板が貼ってあり、しかも半分、釘がさしてなくて扉のように開く。
    壁の奥の暗闇も気になる。部屋のテーブルで壁(板)はふさいだが、赤茶色のシミが気になってしかたがない。
    そのうえ、首都だというのにこの街の静寂。緊張感がありすぎる。
    シャワーも浴びずに眠ることにした。




    首都、プノンペン

     カンボジアの首都、プノンペンは、かつては”東洋のパリ”とまで称された美しい街だったらしい。
    しかし、1975年ポル・ポト派の入城で、街はゴーストタウンと化してしまった。
    その後、内戦などもあったが、2001年5月現在は、夜こそは緊張感に包まれているが、日中は、人々がガヤガヤ、ザワザワと行き交う、賑やかな街です。

     目が覚めると、朝の7時だった。結局いつも通りよく眠っていた。
    しかし、この部屋にはこれ以上いたくはなく、朝飯を食べた後、次のゲストハウス探し。
    一緒にカンボジアに入国したnagy君に教えてもらった(彼も泊まっている)
    ゲストハウスを見に行ったが、同じ値段(US4$)でこれほど違うのか!と驚いてしまった。
    最近出来ただけあって、Fanもでかくて、床、壁、キレイです。
    さっそくキャピトルへ帰り、チェック・アウトをして、『HONG PHANN GUEST HOUSE』にチェック・イン。
    さっそく、シャワーを浴びて、洗濯をして、お出かけ。

     キャピトルをチェック・アウトはしたが、プノンペン観光の拠点には、ここが便利だ。
    1階のレストラン前ではバイタクが、俺にしな!俺にしな!と言い寄ってきて、金額がどんどん下がってゆく。

    歩いてでも行けるが、トゥール・スレン博物館には1,000リエル(US1$=約3,800Rielリエル)で行けた。

    トゥール・スレン博物館と教室を改造した監獄

     ここはポル・ポト派時代、とても惨くて、残酷な出来事があった所だ。
    元々高校だった校舎を監獄として使用していた所である。
    監禁され殺された部屋にベッドと拷問の道具が置いてあり、壁には処刑したときの写真があった。
    それと独房は、教室に無理矢理に壁を作って、一畳くらいのスペースがいくつも作り、各部屋には足かせがあった。

    それとこれが一番ショッキングだった。
    殺される人達の顔写真。彼らの目は何で俺が、私が殺されるんだ?俺が何したと言うんだ!という目や、あきらめた目。

    そこにはまさに”死のポートレート写真”が壁一面に貼っていた。
    最後はカンボジアの国土が骸骨で埋め尽くされた地図。
    これが地獄と言うものなのか?
    外に出ると穏やかな太陽と空がここを包んでいた。

     その後、国立博物館へ行きカンボジアの仏像などを見学。
    カンボジアも戦争さえなければ、すばらしい文化財大国だったのに。
    ここを後にし、トンレサップ川沿いの道を歩き、ここの川沿いの食堂で昼食。
    少し値段が高かったが、味は微妙で、ウマイのかマズイのか。
    この後ボートにでも乗って、遊覧しようかな?と思ったが、食後の俺には耐え難い臭いだったのでパス!
    そんなら、シルバー・パコダに行こう!と思い、トボトボ歩いていると、
    日本語を話すバイタクのおっちゃんが、「2時まで閉まっている。」と言う。
    ほんまかいな?ガイドブックで調べると、そう書いてあった。

    国立博物館
    シルバー・パコダ(王宮)

     あと2時間どうしよう。おっさんがヒマやったらキリング・フィールドに行かないか?と誘うので、ヒマなので行くことにした。(往復でUS7$で行ったが、だいたいUS2$〜3$が相場です。)
    片道30分かけて行ったが、土埃のせいで顔が真っ黒。
    祠のような建物の中には、頭蓋骨がビッシリと積み上げられていた。
    そして、周囲の大きな穴は、積み上げられる前の頭蓋骨が埋まっていたと言う。
    想像すると、ゾクッとしてしまいますが、特に見所はなく、5分ほどしかいなかった。
    帰りも30分かけて戻り、プノンペンのまさに「ヘソ」セントラル・マーケットへ行き、カンボジアPOPSのCDを2枚購入。
    明日もここに行く予定なので、足早に見て回り、シルバー・パコダへ王宮です。

     ここは、騒がしい街中にあってとても静かで、ゴチャゴチャした街中と違ってキレイです。そのうえ広い。
    しかし!暑い。もう太陽を浴びまくり。外にいるよりも部屋の中のほうが冷たくて、気持ちいい。
    仏像が置いてある部屋に扇風機があって、ちょっとそこに長居をしたり、広くて静かな王宮を散策した。
    気持ちがよいほど、居心地が良かったので、
    バイタクとの待ち合わせの時間もオーバーしてしまった。

    キリングフィールド

     今日は色々と観光をしてしまった。
    夕方、キャピトルに帰ってくるとnagy君とAnoさんがいたので
    「今日はどこにいってたん?」などと話、そのあと、僕はいったん部屋へ帰った。
    夜になり、晩飯を食べようと、キャピトルの1階のレストランへ。一人でビールを飲みながら、飯を食う。
    そこにnagy君とtomy君がやって来て、男同士のお決まりの会話。
    男だけって言うのも、たのしいネー。ハッハッハ!
    9時過ぎにここを後にして、部屋へ。明日はどんな事がおこるんだろう。