7度目の再会

     今回の旅でこんなにも一人の人に出会うなんて、想像すらしていなかった。
    nori君と最初に出会ったのはベトナムのニャ・チャン駅だった。
    駅の待合所で俺が切符を買おうか悩んでいるときに、彼に声をかけられた。
    そして、ホー・チ・ミンで再会し、他の日本人の4人で、夜のホーチミンを歩いたり、カンボジアのシェムリ・アップでは瞳が虚ろなnori君と飯を食いに行き、そしてタイのバンコク、チェン・マイ、ラオスのルアン・パバーン、ヴィエンチャン。
    全部、偶然にバッタリと出会った。

     いくら旅の行程が似ているといっても、この偶然には驚かずにはいられない。
    ラオスのヴィエンチャンで出会った時は本当に驚いた。
    ヴィエンチャンで一緒に飯を食っているとき、同じ頃にバンコクに着くことがわかり、その時、俺達は次のバンコクでは偶然ではなく、待ち合わせをして再会しようと約束した。
    その後、俺とnori君はメールで自分の居場所を報告しあって、日にちと待ち合わせ場所を決めた。
    そして今晩、バンコクで、nori君と7度目の再会。

    夕方のカオサン・ロード

     俺達2人はバンコクが旅の最終地点だ。
    「よくもこんなにも出会うことが出来たねぇー。」「日本でも会えるだろうか?」などと
    カオサンロードについ最近できた、レストランでちょっとリッチに食事をしながら、シンハー・ビヤーを飲みまくり、話をしていた。
    どちらが言ったか忘れたが「そういや、俺らって夜しか会ったことがないなぁー。」
    確かに、俺達は、昼間に少し会ったことはあったが、一緒に行動をしたことはなかった。
    「ほんまやなぁー。」「明日、用事がなかったら一緒に行動しようか?」「OK!OK!」
    こうして、俺とnori君はこの旅始まって以来、太陽が明るいうちに出会うことになった。

     翌日、昼の12時に待ち合わせをして、俺達が向かった先は王宮近くにあるタマサート大学。
    昼飯を学食で食ってみようと思い行ってみたが、俺達は女子生徒の多さに喜んだ。
    「ここってスゴイ!」「花園だっー!」「留学してこの大学に入りたい。」
    などと、お互い脳みそ蒸発状態で会話。
    学食は安かったが、外の屋台のほうが美味しいと思う。

    カオサンロードでヘナタトゥーを入れる女性

     花園のような大学を後にした俺達は、チャオプラヤー川をボートで横断して、外科博物館へ。
    館内は薄暗く、「人体の不思議展」をもっとグロテスクにしたような所だった。
    博物館を出た俺達は、市場をブラブラ。バンコクにもこんなところがあったのか!?
    カオサンエリアの対岸だと言うのに、びっくりしてしまうくらい庶民的な市場です。
    俺達が知っているバンコクではなく、下町的な風景でした。

     夜に俺達は、再び待ち合わせの約束をして、一度ゲストハウスへ。
    晩飯を腹一杯食べてみようということで、インド料理屋でチキンカレー。
    そして日本料理屋ではビールとたこ焼き。
    あかん。もー腹一杯。
    こうして、俺達の7度目の再会は終了した。




    最終回-Bangkok-

     明日、日本へ帰るのか。(今晩出発で日本に着くのが明日)
    結局、バンコクでは気が抜けてしまい、何にもしなかったが、ここでやり残したことは、ないだろうか?うぅーん・・・ない。だろう?
    やってみたい事は?うぅーん・・・FOOT(足裏)マッサージぐらいかぁ。よし!やってみよう。

     1時間=140Bを払い、足をモミモミ。イタイ!!!
    おばちゃんは「イタイ、GOOD」と言っていたが、そのとーり。おかげで足が軽くなった。
    その後、カオサンをブラブラしていると、nori君と出会い、最後の晩餐をすることにした。
    カオサン名物?のPad Thai(焼きそば) & Spring Roll(揚げ春巻き)とシンハービールでカンパーイ!

    何度も何度も偶然の出会い。
    nori君ありがとう。君のおかげで、俺の旅は楽しくなりました。
    これでもう俺達が偶然出会うのは最後だ。
    nori君は今夜、俺よりも1時間早く空港へ行く。
    俺は彼を見送り、1時間後、カオサンに別れを告げてミニバスに乗った。
    空港に着いたのはいいが、ちょっと早く来すぎた。ヒマでしょうがない。

     今回の旅で1番長く滞在した街はバンコクだ。
    1回目は旅のスタート地点、2回目は旅のインターバル地点、3回目は旅の最終地点。
    俺の旅の中心となった都市だ。
    でもなんか、これが最後だとは思わない、不思議だが寂しいとも思わない。
    バンコクを含め、東南アジアにはまたいつでも来ることが出来るような気分だ。

     日本に帰るのにも、旅が終わるのにも何も感じない、というか、日本に帰っても、俺の旅は終わりではないと思う。
    東南アジアの太陽と人々が凍った俺の脳みそを解凍してくれました。
    さぁ!日本に帰ろうかな。そしてまた旅に出よう。
    俺が今、一番やりたいことは、旅をして写真を撮ることだ。


     飛行機のエンジントラブルのため、予定より2時間遅れで関西空港に着。
    おっー!帰って来たか!90日ぶりの日本はちょっと新鮮です。
    自販機でジュースを買うのも久しぶりです。
    あぁでも明日からは現代社会の渦の中へ入っていかなければならないのか。
    でも、なんか大丈夫な気がする。色々あってタフになりました。

     税関で東南アジア長期一人旅の俺は、荷物が多かったせいか、別室で荷物検査。
    大麻があるかもしれない。と言う理由らしいが、そんもんありません。
    でも彼ら(税関人)は俺の荷物をリュックから1つずつ取り出しては、入念にチェックしている。
    「出した物はちゃんと元に戻せよ!」と完全無実な俺は税関人に文句を言う。
    おかげで1時間半もこの部屋にいなければならなかった。

     飛行機も2時間遅れたし、ここでも1時間半遅れ。
    夕方までには帰りたいのに、大幅に遅れてしまった。
    電車、混めへんかったらいいのに。大丈夫かな。
    やっと税関を出ることが出来た俺は、日本に入国。

    帰って来てしまいました。