限界破裂〜プロローグ

    始めっから、今みたいにしとけば良かったのに。

    なんて言うか、ここ数年、ずっと無理してたような気がした。
    社会の人間関係など、あーしないといけない。こーしないといけないと。
    自分の中で、勝手に枠組みを作っていたような。
    人間関係においてのストレスが原因の病気になってから、ずっと無理してた。
    正直、しんどかったです。

    今までの旅の中で築いてきた大切なものを封印し、生活を続けていたら、どんどん、自分が消えてなくなっていた。
    死んでるみたいに生きていた。

    出せない自分。出したら壊れそうな、関係。
    いろんな事を考えすぎてしまう。
    そして、空回りの連続。

    もう無理だなと思ったし、我慢する必要もない。
    こんな関係なら、消えて無くなってしまった方が良いと、思った。
    自分が崩れ行く姿は、見たくない。


    そんとき、自分に質問してみた。

    「おまえ、今、何がしたい?」
    俺は、アジアに行って、写真を撮りたい。
    ほんとに思いっきり、写真を撮りに行きたかった。
    本当に、心から素直にそう思ったし、そうしないと元に戻れないとも思った。
    アジアの地で、思いっ切り、シャッターを切りたい。

    そんなら、行こうか!

    気持ちに決心がついたと言うか、覚悟が出来た途端、 なんか急に、楽になった。

    そして、俺って、こんなヤツだったってことを思い出した。
    忘れないといけないことじゃなかったのに。。。
    忘れる必要もなかったのに。。。

    ほんと、無理してたんだな。


    気持ちが、溶けたら、もう止まらなかった。
    まるで、決壊したダムのように、勢いは、もう止まらない。
    長期間の旅は、もうやりたいとは、思ってなかったので、最低、2週間と思い、無理矢理、休みの申請。
    「どうせ行くんでしょ。」と返事をされ、休みを取り、航空券の手配に行った。
    どうせなら、もっと行ってやろうと考えていたが、航空券の値段が一気に跳ね上がり、15日FIXで落ち着いた。
    そして翌週には、ビザの申請と受け取り。


    不思議なことに、行くと決めてから、日々の生活が楽しくなった。
    肩の荷が下りたって感じ。
    自分の周りにまとわりついていた重い物が、取れたような感じだった。
    俺は、いっつも腰が重い。

    旅に対して、やりたいことは、やり尽くしたって感じだったが、
    昨年(2008年6月)写真の展示(Asian Generation -東南アジア編)をして、人に見せることを知って、人と接し、自分が変わった。またやりたいことが増えた。

    世の中、生きる道はたくさんあるけれど、本音は、たった一つだけ。それを決めるのも自分自身。
    たまには、自己主張をして、社会や人間関係の壁でもブッ壊して道をつくっていくのもいいかも。


    で、何故、インドか?

    東南アジアは、もう充分やし。
    中国は、異国情緒を感じないし。
    チベットは、中国と似たような感じのところもあるが、今回は違うような。
    インドは、今の自分に、一番刺激を与えてくれそうな国だと思った。

    人間と接することが避けられない国、インド。
    人間の森、インドへ。

    そんな感じでインドです。

    ビザの期限は、半年。いろんな事を、受け入れたいと思います。
    大地は、繋がっているんです。

    風のように、雲のように。
    そして、俺が俺であるために。

    やっと、重い腰が上がりました。